poco a poco.

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

ぼくは、 

これは、今週18歳の少年がおこした事件を知り、ニュースを見て、
わたしが創造したものがたりです。

真実とはまったく関係ないことはもちろん、
亡くなった方への配慮も欠けています。
何故こんなものを書いたのかというと、大変難しいですが、
人間の負の心を否定することはできても
消すことはできないからです。

負の心というのは絶対に誰もが持っているものです。

それが何かの原因によって大きくなり、
その負荷に耐えられなくなった心の持ち主は、
ある小さなきっかけによって、
常識的には考えられない行動をする。

人間の心の弱さが負の方向へ突き進んでいく原因は、
複雑であるけれどとても日常的であるような気もします。
簡単に家族とかではなく、
簡単に環境とかではなく、
さらに言えば、目に見えない大きな力が働いていることは間違いありません。

生まれつき悪魔だったわけではないのです。



非道な行為で他人の命を奪った者は、死をもって償うべき。

短絡的に決めつけてしまいがちな世論の流れがある中で、
その心の奥を想像してみることは無駄ではないと思うのです。

もちろんこの少年は一生を投じて罪を償わなければならないし、
きっとどこまでいけば償ったことになるのかも分からない。

家族を突然奪われた人の心が癒されるときがくるとも思いません。

彼は卑劣で身勝手な行為を実行した。
それを絶対に許してはいけない。
それでも、処刑することで犯罪は減らない。
死刑は抑止力にならないと、わたしは思います。



こういう内容なので、読みたくない人はここまでにしてください。







ぼくは、とても憎んでいる。
でもぼくが一体何を憎んでいるのか、それが分からない。
中学校でぼくはひどくいじめられた。
だから、ぼくをいじめたやつのことは今でも憎い。それは本当だ。
今、ぼくをいじめたやつらが目の前にいたら、ぼくはそいつらを刺すかもしれない。でも、違うんだ。あんなやつらを殺してしまったら、ぼくが本当に憎んでいるものが何かわからなくなる。
ぼくは今、あいつらを思い出して憎んでいる場合じゃないんだ。


親父がリストラにあって、それから日雇いとか派遣とかで働いてきてくれたけど、働いている時間は前の倍くらいなのに給料は社員だったときの半分くらいになった。
親父は夜に出ていって、昼間に帰ってきたりしていたからあんまり顔が見られなかったけど、よく携帯に電話をしてきてくれた。
親父はしっかり勉強しろといってくれた。お前にはいろんな将来があるんだから、勉強して自分で切り開け。そう、いってくれた。
嬉しかった。親父のひと言ひと言がすごく嬉しくて、ぼくはかなり勉強を頑張ったんだ。

ぼくが希望して遠くの学校に進んだから、必要以上に学費や交通費がかかったし、収入も少なかったし、大学を諦めなきゃならなくなったのは、本当に仕方のないことだった。
だからぼくは親父のことを憎んだりしてない。
遠くの学校に通えたお陰で平和な3年間がおくれたのは事実だし、勉強は好きだった。友達はやっぱり作れなかったし、進学もできなかったけど、それだけで十分だって思っていたし、それは嘘じゃない。

だって仕方がないよ、お金がないんだから。
ぼくは就職して、お金を作って、それから自分の力で大学に行こうと決めた。
親父にもそういっていたし、もう大学のことは言わないってそれも決めた。
丁寧に履歴書を書いて面接を受けた。
でも面接官にこう聞かれて、ぼくはわからなくなった。

なぜこの会社で仕事がしたいの。どんな社会人になりたいの。

ぼくには返事ができなかった。その会社に興味なんてなかったし、社会人になりたいと思っていたわけでもない。ぼくは、お金が欲しいだけだった。
面接でうまく答えられなくて、これは受からないだろうなと思っていたら、やっぱりそうなった。
それから、簿記の資格をとっておこうと思って受けたけど、それも受からなかった。

どうでもいいんだ。だって就職が最終じゃないから。
お金を稼いで、それから大学に行って、本当にやりたい仕事を探すんだ。
だから、そんなことどうだっていい。
どうだっていいけど、だけど、すごく恐くなった。

このままだと、ぼくは、はい上がれない。

お金さえあれば大学に行けるのに、お金さえあれば予備校に行って来年に向けて勉強ができるのに。
今日も、親父は2つの職場に働きに行く。
ぼくががんばってお金を稼げるようにならないと、親父は10年後も20年後も働き続けなくちゃならない。
親父はぼくにこう言ったことがある。
国や政治家に騙されるな、あいつらは貧乏人のことなんかちっとも考えてないんだ。小泉をみろ、アメリカにいくらでも金をくれてやるくせに厚生年金の支給年齢を60歳から65歳に引き上げたんだぞ。俺には金がない。だからお前を大学にもやらせられないし、自分の老後もきっと面倒がみられない。俺はのたれ死んでいいんだ。でもお前はなんとか切り開いてくれ。上に上がってくれ。

どうしたらいいのか分からなくなっていた。
まったく分からないのにぼくの中の憎しみだけはどんどん膨らんでいった。
新しい履歴書を買いに文房具屋に行った帰り、ぼくは中学生の頃の同級生に会った。
ぼくをいじめていたやつらじゃない。普通のやつらだ。
一人は大学に行く予定で、一人は大学に落ちたから予備校に通うって言ってた。
ぼくはなんであんなことをあの二人に言ってしまったのかわからない。

お金がないから大学を諦めて就職しようと思っているけど、うまくいかない。

そんなことを友達でもなんでもない二人に言ってしまうなんてどうかしてた。ぼくはすごく後悔した。お金さえあれば、ぼくはやつらと何も変わらないはずなのに、ぼくにはお金がない。親父にも家にもお金はない。


親父がいくら一生懸命、一日のほとんどを働いてもぼくは大学にいけない。
それはすごく給料がやすいからで、お金はぼくたち家族の所には入ってこないようになっているからで、ぼくはとても悔しくなった。


憎しみは大きくなるばかりだ。


高校を卒業したぼくは、親父とご飯を食べることが多くなった。
直接親父と話すことができるようになって、最初は嬉しかったけど最近はなんだからうざくなってきた。親父は大きなことばかり話す。
ぼくは親父のそういうところが好きだったけど、何度もきいているうちに嫌になってきた。
何もできないくせに。と、思うようになってきた。

親父がどんなに頑張っても、どんなに正しくても、何も変えられない。
ぼくはそれに気が付いてしまったんだ。

お金がないと、上に上がれないことにも。ぼくも親父と同じように何十時間も働いて、やっと大卒の初任給がもらえるような生活をするんだって


ぼくは気が付いてしまった。


あの日、ぼくはぼくの憎しみが何なのか気が付いた。
テレビのニュースで8人を刺した男の話が出てた。
ぼくは夢中になってニュースを見ていた。それで、親父に言われた。

こういうことをするなよ。

親父にはきっと気付かれていたんだと思う。
ぼくが何かを見つけたことを。
ぼくはわかった。ぼくはぼくの憎しみがどこに向いているのかがわかった。


ぼくはきっとやると思う。そして、死刑になる。
死刑なんて生やさしいものじゃなくてもいい、ぼくはぼくをつくった社会に復讐をするのだから、ぼくは人体実験に使われてもいいし、殴り殺されたっていい。

ぼくは決めたんだ。

ぼくは今日、台所に置いてあったナイフを持って家を出る。
ぼくは二度とここには戻ってこない。
スポンサーサイト
[ 2008/03/29 23:26 ] story | TB(0) | CM(2)
わかります、仰りたいこと。痛い程。ちょっとした事で我々は悪者になったりしてしまうんです。そしてそれは抗えない力が働いているんですよね。
誰でも被害者、加害者、悪者にあっという間になって大切なとこは後付け講釈でせせら笑ってるというのが人生の根幹ですしね。
意識を明敏にしていたいです。

死刑は解決にはなりません。強制的にそこで因果関係を終わりにするだけです。


[ 2008/04/01 03:27 ] barrameda [ 編集 ]
barramedaさん、コメントありがとうございます。やっぱり自己満足で終わったな。と、思っていたのでうれしいです。

悪い心も人間であることのひとつなんです。
こういう事件が起きたとき、自分や自分の子供がそうなる可能性があるんだという人は少ないですね。
異常者や殺人鬼で片づけることは、安易な逃げ道でしかないのに。

気がつくと流されている自分がいて、こらこらと思います。
[ 2008/04/01 12:33 ] rorie [ 編集 ]
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。