poco a poco.

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

書き出し 其の一。 

最近の没作から。



 居間の隣の部屋にある両親の寝室だった六畳間に、母の仏壇がある。押入の上に入る小さな型で、母の実家からもらってきたものだ。仏壇の前に座ると、ベランダからすーっと首筋を伝う汗を冷やすような風が入ってきた。
 母に『おかえり』と言われた気がして、一花は鈴を二度、軽快に鳴らした。
「ただいま」
 母の遺影は変わらず笑っていて、一花もそれに笑いかけた。線香に火を付け、二・三回降って消すと灰箱に刺した。薄紫の煙が両側から引っぱられるように蛇行しながら広がった。久しぶりに嗅ぐ線香の香りに包まれ、鼻孔の奥にもそれが届く。線香の香りがする空気は普段より少しだけ、重い。
「この仏壇も箔がついてきたわよね」
 一花が居間にいるはずの父にそう声を掛けると、お膳を片づけているのかカチャカチャと音を立てながら大きな声が返ってきた。
「そりゃあそうだ、もう十年になる」
 一花はベランダの方へ行って庭を眺めた。通りから入る風が部屋にすいっと吸い込まれたと思うとふうっと溜め息のように勢いよく出ていく。小さなときから変わらない、深い呼吸のような風だった。



この小説の書き出しは、多分20回くらい書き直した。
これは最初の方のやつ。後の、煮詰まったやつのほうが読みづらい。
書き出しで煮詰まるって、よくあるパターン。

スポンサーサイト

[ 2008/06/25 18:30 ] practice | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。