poco a poco.

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風味絶佳。 

山田詠美さんの風味絶佳を読んだ。

これまで詠美さんの本は一冊残らず必ず読んできたのに、
初版から一年以上経っても読まなかった。
本屋で見かけても、手にすることもしなかった。

それは無意識のようで、そうじゃなく、
はっきりと意識してそうしてきたのだと、
読み始めて気がついた。
キャラメル色のその本はいかにも面白そうだった。
だからこそ手にできなかった。

一頁目で、そのうまさに参った。
本当にうまい。巧すぎる。

言葉の一つ一つが磨かれて、光っている。

そんな風に思えるほど、一節一節が
この言葉でなければ駄目なんだと思えるほど、
的確に表現されている。

驚くことに、詠美さんが小説で伝えようとしていること、
それ自体は20年前とそう変わっていない。
ただ、それを媒介するものが違う。

20年前は米軍基地の近くに暮らすジャズシンガーだったのが、
今はキャラメルを必需品にしているグランマに変わった。
伝えることは同じでも、伝わり方が違う。
キャラメルの甘さを小説の中に取り入れてしまうなんて、
わたしにしてみれば、魔法としか言いようがない。

書き始め、登場する人物像、言葉の選び方、
それはどこを切り取っても、
詠美さんだけのものであって、
真似をできる次元のものではない。

そんな小説家が17だったときから
ずっとわたしの中に存在していて、
わたしは、降参するしかなかった。

「こんな小説書けないよ」
当たり前だ。わたしは詠美さんの読者なだけで、
詠美さんではない。

そして、あれほどの小説を書いていた人が
20年間ずっと書き続けてきた上で生まれた小説。
それが、「風味絶佳」

料理を描写するときのテクニックは凄い。
レシピの中には、登場人物も書き込まれていて、
それは一つの小説として料理される。
まさに圧巻の一言。

わたしがすぐに買わなかった理由が分かった。
きっと読んだら書きたくなるだろう。
そして自信をなくすだろう。

そう心のどこかで思っていたからだと思う。

無駄がない。
そして、隙間もない。
風味絶佳。
なんてタイトルだろう。

わたしにできることは、
自分の世界を書くことだ。

そして詠美さんに感謝するとすれば、
小説とはとても素晴らしいものだと教えてくれたことと、

詠美さんのようにすてきな小説家と出会い、
わたしにとって、
とても大事な20年を過ごして来れられたことだ。

素晴らしい小説を、
読むべく時に読めたことが
今とても嬉しい。
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[ 2006/09/11 00:14 ] book,art,etc.. | TB(0) | CM(0)
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